七夕イベント『帰還』

激動のパレスチナとイスラエルについて、少し時間を遡って、普通の人たちはどうしていたのか、それを描くドラマを通して理解を深めていく、そんな機会を設けました。

重いテーマを軽やかに俎上に載せてみせる演劇の力をぜひ体験しにきてください。

アプライドドラマ『帰還(Returning)』

*プレ・テキスト/構成:アレン・オーエンズ(チェスター大学教授・教育学博士)
*プラクティショナー(実施者):オーハシヨースケ

❗️イベント詳細は本記事末尾までスクロールしてご覧ください

ごあいさつ

どうぞリラックしてお席にお付ください。ドラマの進行に合わせて、お隣の人と話し合ったり、議論したり、劇の登場人物たちと話したり、そんなドラマに参加するお芝居です。

ここで用いる台本は、プレ・テキストと呼ばれるもので、言ってみれば「叩き台」です。このプレ・テキストは、1972年に暗殺されたパレスチナ人作家、カッサン・カナファーニ(Ghassan Kanafani)によって書かれた短い物語を基に描かれたドラマです。 

パレスチナ西岸に住む夫婦が、ハイファにある旧自宅を訪ねる物語です。
それは20年を経て初めての帰還でした。そこで彼らは、旧自宅をはなれて以来ほぼ一日も欠かさずに考え続けてきたことに直面します。
— アレン・オーエンズ —

アプライドドラマとは

アプライドドラマとは、演劇作品の上演を目的としない、ドラマをすること自体を目的とした演劇活動です。わかりやすく紹介する文章を下記に引用しました。

⭐️アプライドドラマは、現代の学校教育で求められている子供たちが
他者と協働する力、自己理解・他者理解の能力、コミュニケーション能力、問題解決力、社会性を育成するだけでなく、(学校教育だけではない)
さまざまなニーズに合わせて応用されることができるドラマ活動である。
— 小林由利子『やってみよう!アプライドドラマ』(図書文化社)–

アレン・オーエンズとは

⭐️アレンは世界的なアプライドドラマの教育者であり、研究者である。
そして彼はどんな人とでも、文化的相違に配慮して、
一緒に活動することができるのである。
— ウォ―リック大学教育学部 ドラマ・演劇教育主任教授
Dr.ジョナサン・ニ―ランズ/『やってみようアプライドドラマ』より —

オーハシヨースケとは

⭐️ヨースケは、言葉を超えたコミュニケーションの可能性を追求するために、
劇団TAICHI-KIKAKU(タイチキカク)を率いて
30年にわたり24カ国を巡り、
身体詩と言う独自の演劇スタイルを発展させてきました。
彼はまたイギリスで創作された(私の)
「演劇を応用したコミュニケーション教育(アプライドドラマ)」を
日本人向けに実践できる日本の応用演劇のパイオニアです。
— アレン・オーエンズ教育学博士。国家教育委員。芸術教育センター(RECAP)副所長。英国・チェスター大学教授 —


アレン・オーエンズによる作品解説 

— パレスチナ占領を理解するために:帰還 / アレン・オーエンズ – 
(訳:オーハシヨースケ)

このプレ・テキストは、1972年に暗殺されたパレスチナ人作家、カッサン・カナファーニ(Ghassan Kanafani)によって書かれた短い物語を基に描かれたドラマです。

ヨルダン川西岸地区に住む夫婦が、ハイファにある旧自宅を訪ねる物語です。

それは20年を経て初めての帰還でした。
そこで彼らは、旧自宅を離れて以来、ほぼ一日も欠かさずに考え続けてきたことに直面します。

このプレ・テキストは、パレスチナとイスラエル間の紛争を、なかなか複雑な問題ではありますが、観客を夫と妻という関係に引き入れることで、深い人道性のレベルで問題を認識してもらいたいという意図で作りました。

帰還(Returning)は、籠の鳥(Bird in the Cage)、The Field(紛争地域)の三部作の一部です。それは、ハラ・アル・ヤマニ(Hala Al Yamani)女史と彼女の同僚のパレスチナ人たちの協力により、英国を拠点として活動する応用演劇実践家(プラクテショナー)アレン・オーエンズ(Allan Owens)教育学博士によって創作された、3つのプレ・テキストのひとつなのです。

プレ・テキスト・ドラマは、コミュニテイをベースにした、全員参加型のワークショップで、口語会話での語りによる、ストーリーテリング(おはなし)という伝統的な上演形態により、おこなわれます。

プレ・テキスト・ドラマのルーツには、英国のドラマ・イン・エデュケイション(ドラマ教育)の方法があります。応用演劇創造の場は、旧来の、劇場を拠点とした演者と観客の関係がしばしば変容させてきました、そこに、この源があるのです。
そこでは、演者と観客双方が参加者になり、いろいろな形態のグループを組織し、演技し、場面を作り、互いに観あい、そしてそれを解釈しあいます。

劇場空間における、創ること観ること、そして解釈することの織り成すこのワルツは、われわれが当然と思って見過ごしている前提を、明視化してくれます。

集団として、また批評的に、我々の理解を振り返るために、この(創ること・観ること・解釈することの織り成す)ワルツは、想像力を働かせてわれわれの感情を動かすという人間的能力を、価値あるものにする大切なプロセスなのです。

三部作の各プレ・テキストは、参加者を、容易には解決できない状況へのチャレンジへ引き込む、独立した作品です。

その表現様式は軽やかなものですが、しかし突然、パレスチナにおいて占領が意味するもの、どのように生活が営まれ、どのように人が生かされているのか、という(パレスチナ問題)の理解へと、方向を転じていきます。

The Field(紛争地域)は、1995年にガザで創られました。この作品は、世界最大の刑務所であるガザ地域に生き、そこで成長することの肉体的、精神的文化的な困難さとその試練を探求しています。
Birds in the Cage(鳥かごの中で)は、西岸地区のパレスチナ人の強制、抵抗、暴力についての作品です。
Returning(帰還)は、かつてはパレスチナの土地であった占領地域とイスラエルの間の境界を超えて帰還することの、可能性と不可能性の境界をのり越えていくことに焦点を当てた作品となっています。


イベント詳細

公益社団法人国際演劇協会(ユネスコ傘下)日本センター
英語圏部会企画


日時:2024年7月7日(日)14:30開始
会場アトリエ第Q藝術(東京、成城学園前。リンク先最下部に地図あり)

プログラム
第1部 14:00〜15:30 アプライド・ドラマ『帰還』上演
(観客参加型でドラマの内容について考えていきます)

第2部 15:45〜16:45 懇親会
(ドリンク片手に、この作品について自由に語り合ったり、観客同士の交流を持つ、英語圏部会ならではのとても楽しい時間です)

参加費
第1部のみ 1500円
第2部も参加 +500円(懇親会のみの参加は、できません)

ご予約
TAICHI-KIKAKU 03-5385-9137
taichi-k@mub.biglobe.ne.jp

❗️定員50名の小劇場です。懇親会に参加なさるかどうか明記の上、お早めにご予約を。お代金は、当日、受付にてお釣りのないようにして現金でお願いいたします。

原作:ガッサン・カナファーニ 
プレ・テキスト:アレン・オーエンズ&ハラ・アル・ヤマニ
翻訳・翻案:オーハシヨースケ
出演:オーハシヨースケ 小沼詩恵
映像・音楽:田渕英生
演出協力:ヨシダ朝
制作:国際演劇協会日本センター・英語圏部会
協力:NPO法人祈りの芸術TAICHI-KIKAKU

今だからこそ、一緒に体験しながら考えてみよう
   


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